覇剣~裏柳生の太刀~第三章
「今度は剣士さんの方から立切りお願いします」
剣士は頷き、太刀を中段に構える。
光の眼を見る。
目付け、真剣での構えではもっとも重要である。
人間誰しも真剣は怖い、特に日本刀ともなれば、その威圧感は聞きしに勝ると言われる。
恐怖は判断を迷わせる、恐怖は身体を硬直させる、恐怖により呼吸は乱れ、脳の活動を遮断する。
恐怖、迷い、生、死、精神、心、脆い。
脆い、脆い、そう思う。
剣士はそう思う、光もそう思う。
何年修行をしていても、と思う。
だが、と剣士は考える。
あの否な空間ではない、龍剣との稽古である。今想えば、立切りだったのだ。
あの稽古は立切り、そうだ、いつも真剣だった、太刀と太刀、それが当たり前だった。
剣士は迷わず光に太刀を放った。
作品名:覇剣~裏柳生の太刀~第三章 作家名:如月ナツ