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覇剣~裏柳生の太刀~第三章

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お互いに間合いを取る、真剣である、触れれば斬れる、真剣である。
太刀の銀色の光は正と死を映し出しているように見える。
光るが掛け声と共に、太刀を繰り出す。
剣士の咽喉仏である、数センチの処で止める。
精神力の世界である、極限の集中力の世界である。
剣士は微動だにせず光を見ている。
立て続けに光の太刀が剣士の急所、首、心臓、手首、胴、に寸止めで入る。
わずかに、ほんの数ミリ程度だが、寸止めは剣士の身体に近付いていった。
 立切誓願の由来、それは山岡鉄舟に始まる。鉄舟は久須美閑適斉に神陰流を学び、また北辰一刀流も学んだ後、四十五歳に無想剣の極意を得、無刀流を開いた男である。
「剣法というものは実地の場に臨んで死生を決断するところの道である」
と説き、そのころから、スポーツ化していく剣道に異を唱えた男でもある。
明治、大正、昭和、平成と、山岡の志に反し、剣道は、武道は、スポーツとなり、趣味となり、娯楽となった。
趣味や娯楽である、商い、商業ベース、心の修行などお題目にしか過ぎない。
もはや武道になど、精神は語るに足らず、ただただ、道場経営、商業として、資本主義の上辺だけの物質社会に飲み込まれていった。
考えれば、その行き着くところの揺り返しが、今日の現象なのかもしれない。
こんにちの現象、2020年の時代である。