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第六章三話 塗りつぶされた過去

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【カミビ村 石賀卓視点】


村の子供達が慌てながら俺こと石賀卓の元へやってきた。
「あの時の兵隊さんが倒れてるんだ!」
「はやく!こっち来て!!」
俺は救急箱を持って子供達の後を追った。
誰だろう。
もしかして風太?いや、雷太かも
誰でもいい!あれからどうなったのか聞きたい。
「ほら!」
倒れていたのは墨田と名乗っていた兵士だ。
頭の出血がひどかったがなんとか息はある。
「先生の家のベッドを綺麗にしといてくれるかい?先生はこの子を治療したら運ぶから。」
「わかった!!」
子供達はすぐに村のほうへと走っていった。
「最近アメリカ兵が優勢と聞いていたが・・・・風太・・・雷太・・・・」
そして家まで運んだのは良かったが―――――
「それが、俺の名前ですか?」
耳を疑った。
「えっ。何を言って」
次の言葉に俺は衝撃を受けた。
「あなたは誰ですか?」
俺はすぐに【記憶喪失】という言葉が頭をよぎった。
なんてことだ。
神よ、あなたは残酷なことをなさる。
こんな若き子供に辛い道のりを辿らしておいて、その報いがこれですか?