「仮面の町」 第八話
「そうだな。優子と一緒ならやれそうな気がして来た」
「そういうところだけは・・・甘えるのね。もうしっかりとしているのかどうだか解らないよ弘一は」
「そういうなよ。それよりお母さん家に帰ったのかなあ・・・」
母親の里枝は住むところ見つけたからと言って二、三日前に出て行っていた。
「多分どこかでアパートでも借りたんじゃないの。そうか・・・住み込みの仕事見つけたかよね」
「優子は心配じゃないのか?」
「あの人は強いから大丈夫よ。落ち着いたら連絡してくるから・・・それより父親の方が心配、っていうか家がどうなっているのか心配だわ」
「まだたくさん自分の衣装とか残してきているんだろう?取りに帰ったらどうなの?」
「それは考えていた。寒くなってくるし冬服も居るしね・・・日曜日に被害者を訪ねた帰りに家に寄ってくれない?一緒に荷物運び出したいから」
「いいよ、じゃあそうしよう。車借りてこようか?」
「誰に?」
「会社の先輩か・・・レンタカーかな」
「レンタカーにしよう。気楽だし」
「じゃあ予約しておくよ」
作品名:「仮面の町」 第八話 作家名:てっしゅう