「哀の川」 第二十六話
「ねえ、ここへは良く来るの?店長さんに顔が利くみたいに感じたから」
「ここはね、パパとママの思い出の場所なんだ。ボクが10歳の頃、ここでよくデートしたらしい・・・不倫なんだけどね。由佳には何でも話すよ、良いだろう?」
「うん、そうだったの・・・きっと店長さん、思い出すことがあったのね。7年か・・・純一さんのママが今のパパと出逢わなかったら、私達もきっとここには居なかったでしょうね」
「そうだよ、由佳とは出会うべくして出逢ったんだよ。感謝しなくっちゃ、これからもずっと一緒にいようね」
「ありがとう、大好きよ!純一さん・・・私はずっと傍に居たい」
これから話そうとしていることが、由佳に辛い思いをさせるであろうことは想像がつく。なかなか言い出せなかったが、店長が二人にとプレゼントでプリンを出してくれたことをきっかけに、話し始めた。
作品名:「哀の川」 第二十六話 作家名:てっしゅう