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てっしゅう
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「哀の川」 第二十六話

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純一は嫌な予感がしたのか、その場で開くことはせずに、部屋で中を見た。あんなに明るくなってくれたと喜んでいたのに・・・何故、故郷へ帰ることを言ってくれなかったんだろう、と悲しくなった。所詮は子供なんだと、環の相談相手になれるような経験も人格も備わっていないと言う事なんだ・・・そう感じた。

周りに、と言うか関わりの出来る女性に年上が多いせいか、自分が甘やかされていると痛切に感じた。男として逞しくなるためには、一人で生活をしないといけないことを思い始めていた。朝食のときに直樹は両親が来年壊れた実家を修復すると純一に話した。殆ど建て直すのだが、震災の記憶を消さないようにと壊れた一階の自分達の部屋だけは修復して残すと決めているとも聞かされた。

純一はあることを決意しかけていた。今日、由佳に逢ったらその事を話そうと考えていた。両親や杏子にも内緒にしている重大な決心である。シャワーを浴びてさっぱりとした純一は、杏子から貰った大切なものを財布に仕舞い、待ち合わせの場所へと家を出た。日差しはもう秋らしくなってきているが、照りつける太陽は容赦なく強い光線を放っていた。