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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十一回・四】らぶりーべいべー

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「…なーんか引っかかる…」
「ホレ、水」
呟いた京助の目の前に坂田が紙コップを差し出した
「それともホレ、ツマヨウジ」
反対側からハルがツマヨウジを差し出した
「いやいや; そうじゃなくてよ;」
京助が言う
「じゃ何がひっかってんだ?」
南が割り箸を咥えて聞く
「ソレがわからんのよな;なんかこう…すげぇ大事なことの様な気がするんだけども…でてこないっつーか」
京助が溜息交じりに言う
「なんだソレ;」
中島が言う
「例えると…出そうで出ないクシャミ?」
「うわーやるせなーそれ;」
京助が言うと南が突っ込んだ
「うあー!!; 気になるー;」
京助が頭を抱えてフォォオっとしゃがんだ
「家のことか?」
中島が聞く
「いや…違う…と思う…けど…うあー;」
しゃがんだまま京助が喚く
「電話掛けてみたら? 思い出すかもよ?」
「若、携帯」
「俺か;」
南が言うと中島が坂田の前に手を差し出した
「ホレもう繋がってるからな」
「あ? あー…さんきゅ」
坂田が京助に携帯を手渡した
『はいっ栄野ですっ』
「あ、悠だ」
元気よく電話に出た悠助の声に中島が笑う
「よっす」
『あれ~? 京助だ~!』
「悠声でけー」
見えるわけではないのに片手を上げながら返事をした京助の名前を呼んだ悠助の声が周りにも聞こえる
『京助?』
『うん~京助だよ~』
『ほやぁあああああああ!!』
「…騒がしいナァおい;」
電話の向こうから聞こえてくる声をと物音に京助が口の端を上げた
『どうしたの~?』
悠助が京助に聞く
「いや…別になんでもないんだけどよ」
「悠~京助ホームシックなんだー」
坂田が京助から携帯を取り上げて言う
「オイこら;」
京助が坂田をどついた
『今日ねー冷やし中華なんだよー』
悠助が嬉しそうに言う
「ほーこっちは焼肉だぞー」
南が京助の肩越しに言った
『ちょっと待ってねー慧喜ー京助ー』
「オイオイ; かわらなくていいっての;」
悠助が近くにいるらしい慧喜に声をかけている
『義兄様?』
「よー」
慧喜が電話に出るとやはり見えるわけ無いのに京助が片手を上げて返事をした
『緊那羅にかわるね』
「だぁから!! ;かわらなくてもいいっつーの;」
かわるがわる電話をかわるのに京助が突っ込む
『え? なんだっちゃ? …京助?』
ゴソゴソという雑音に交じって聞こえた緊那羅の声
『京助?』
「おー」
『どうしたんだっちゃ? 晩飯は食べたっちゃ?』
「今食ってるとこ」
『そうなんだっちゃ? 今日はこっち冷やし中華とか言うの作ったんだっちゃけどハルミママさん京助の分まで作っちゃったんだっちゃ』
「ほぉーうってことは明日帰ったら食えるのか」
『ううん矜羯羅が食べたっちゃ』
「…コナクソ;」
『あははは』
しゃがんでは立ち上がりしながら電話をする京助を阿部が黙って見ていた
『で? 何か用あったんじゃないんだっちゃ?』
他愛も無くただ話しているろ緊那羅が思い出したように言った
「…いや別に」
『へ?』
京助がさらりと言うと緊那羅が電話の向こうで素っ頓狂な声を出した
「別に何にもねぇんだけどさ…;」
『そうなんだっちゃ? …そっか』
京助が言うと緊那羅がどこか嬉しそうに返した
「何で笑ってんだよ;」
そんな緊那羅に京助が突っ込む
『ううん ただ何もなくてよかったなって思っただけだっちゃ』
緊那羅が言うと京助がきょとんとした顔で止まった後眉を下げた
「ばっか」
そして苦笑いで言った