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てっしゅう
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「ぶどう園のある街」 第六話

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雅子には美也子の記憶が3歳で止まっているようだ。自分の子供の麻美とダブっていたのだろう。すっかり優しい顔つきに変わっていた雅子との会話に心が痛む・・・自分が何故こうなる前に救えなかったのかと言う自責の念とともにだ。

大晦日が来てすっかり正月を迎える準備が整った施設で恒例の挨拶が職員どうして交わされ、明日の出勤に備えて普段どおりに確認を終了して各自自宅に帰っていった。宿直当番の職員に挨拶をして美也子は午後8時を回る時間に退社をした。帰り道にあった高見の
コンビニを覗くとレジで仕事をしている洋祐が目に入った。挨拶をしておこうと中に入って頭を下げた。

「大西さん!お疲れ様でした。今帰りですか?」
「はい、そうです。今日はお仕事なんですね」
「ええ、そうなんですよ。明日からはお休みですか?」
「いいえ、仕事ですよ。高見さんは?」
「同じですね。パートさんが休まれるのでこの時期は仕方ないんです」
「そうでしょうね、お正月ですから主婦の方は忙しいですよね」
「良かったら明日も帰りに寄って下さい。ちょっとお話ししたいことがありますので」
「そうですか・・・明日からはお泊りの方たちだけですので多分夕方には仕事が終わります。父と母も温泉に泊りがけで出かけますので家には誰も居ませんから、お時間宜しければこの間のお礼にお食事でもどうですか?」

美也子は自分から誘っていることが不思議に感じた。自然に口からそう出てしまったのだ。