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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「仮面の町」 第七話

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「れっきとした賄賂だよ、それは。誰もおかしいと思わないの?」
「もう何十年も続いている儀式みたいなものだから、疑ったり、辞めようなんて発想はないよ。上官がそう話してくれた」
「陽子はどう考えているの?」
「私?どうって・・・事務職よ。意見なんて言おうものなら、即刻首になっちゃうわ」
「そんなところに勤めているということに疑問は感じないの?」
「この町のどこに勤めても大小はあるけど、同じような体制じゃないのかしら・・・優子の花井建設だってそうでしょ?」
「花井は社長の奥さんが久能肇の妹だからね。幹部は全員頭が上がらないよ。なんでもハイの会社だね」
「天木さんも同じでしょう?彼はどう考えているの、自分の会社のこと」
「今のところ花井建設がどうのこうのと言う話はしていないわよ。彼の関心は事故の真相なの。自分が関係した責任を果たしたいとの思いが強いのよ」
「会社から止めるように言われたら、どうするの?あなたも天木さんも辞職するの?」
「私はたぶんそうする。彼は解らないわ。でも調べを投げ出すような事はしないから、結果辞めることになるでしょうね」
「そんな事になったら生活してゆけないよ。結婚まで考えているんでしょう?この町で久能から目をつけられたら暮らせないわよ」