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てっしゅう
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「初体験・選択編」 第二話

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典子は10年前に夫を亡くしていた。小枝子は家計を助けるために仕事を始めて職場で紹介された男性と見合いをして結婚した。相手の男性は大和田でレコード店を経営していた。ミドー楽器店がそれだった。
30歳を前にどうしても結婚したいと相手から強く願い出られて小枝子は承知した。母親に負担をかけたくないと結婚式は粗末にした。商売をしていた夫は休みも取れなかったので一泊の新婚旅行を盆休みと兼ねて済ませた。
仲良くはなかったけどそれなりに楽しい結婚生活を送ってはいた。子供が出来なかったことで相手の両親からいろいろと言われたが、これも縁だからもう少し待って欲しいとお願いをしていた。8年が過ぎて小枝子が30を前にして夫はもう限界と感じ始めたのだろう、浮気をしていた。商売柄知り合う機会が多くあったのを利用したのだ。
別れを言い出されてちょっとは悲しかったが、店の仕事が忙しくて沈み込んでいる暇がなかった。夫に権利を譲ってもらって慰謝料に代えて離婚は成立した。母親の典子は我慢が足らないと怒ったが、浮気はいけないと慰めてもくれた。しばらくは仕事仕事で時間が過ぎていった。