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ふたりの漂流記

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「釣りって難しいんでしょ?やったことあるの?」
「それがね、やったことあるんですよ。ボラ、ハゼ、イワシ、アジ、アナゴ、サヨリ、サバ、メバル、アイナメ、カサゴ、カレイ、シロギス、タチウオ。近海で釣れるものは大体釣りましたよ」
「ここは太平洋よ。釣るとしたら鮪ね。釣れるかしら」
 圭は途方に暮れている。
「鮪かぁ、でも、月に一匹釣れたら充分でしょう」
「釣れたらね。あとは水よね」
「雨水を貯めることができれば、いいでしょう。傘を逆さにして雨水を集めるというのは?」
「この船に傘はないかも」
「雨の日にバケツとか鍋を置いておけば、少しは溜まると思うな」
「ところで、のんびり話してないで、ほかの船を探すべきじゃない?」
「そうだね。その前に懐中電灯とか、投光器を探しますよ」
作品名:ふたりの漂流記 作家名:マナーモード