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アイラブ桐生 第二部・第二章 23~25

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 笑い声を残して、優子はバス停に向かって歩いていきます。
南の太陽はまだ、強い日ざしのまま西空のかなり高い位置で、まだまだ
サンサンと輝いています。
夕焼けどころかこの時間になっても沖縄の空はまだ、
まったくの青空のままです。
南にくると、日暮れも遅くなるのかな・・・・
と見上げていたら、


 「群馬~、バスはあるけど、
 伊江島への連絡船が、もう間にあわないみたい。
 仕方ないから、那覇で一泊しましょう。
 ねぇ、聴いている?
 ・・・・どうしたのさ、何かあるの、
 空ばっかり見て」


 「いや、
 7時を過ぎたというのに、まだサンサンとした青空だぜ。
 内地じゃ考えられない現象だ・・・・」

 「あ、そう。
 じゃあ、あんたはそこで野宿だね。
 私は嫌だよ、散々連絡船に揺られてたきたのだから、
 今夜はベッドでゆっくりと寝たいもの。
 じぁあねぇ~またあとで」

 「おいおい、右も左もわからないところに
 置いていくなよ・・・・薄情者が」


 
 結局、那覇市内の小さなホテルで一泊し、
翌朝は早い時間から本部半島を目指して、
バスで移動することになりました。
おどろいたことに、那覇の市街地にさえ空軍基地が有りました。
民家の隙間から、迷彩色の大きなジェット戦闘機の
尾翼が見え隠れします。




 「なにを大げさに・・・・
 こんなのはまだまだ、まったくの序の口です。
 なにせ、沖縄じゅうが基地だもの」

 大きな日差しの帽子をおさえながら、
優子が後部座席から私の耳元へ、囁くようにつぶやきました。



 東シナ海を左に見ながら
北上しつづけるバスの行く手には、
高くそびえる鉄条網が見えてきました。
その向こう側には、草地と滑走路が広がっています。
たったそれだけで、それ以外には何も見当たらない光景が
道路に沿って、延々と何処までも続いていきます。



 これが、基地?

 ところどころにゲートが有り、
基地内へ入り込むための道路が現れてきました。
草地ばかりだった一帯が、綺麗に刈り込まれた芝生に代わり、
綺麗に舗装をされた広い道路が金網越しに並走して走り始めました。
ほどなくすると、大きな一軒家の集合地が現れてました。

 「居住地の、米軍住宅よ」




 すべてが家が、庭付きの一戸建てです。
アメリカサイズと言える、きわめて大きく立派な2階建て住宅です。
家族も含めて、軍事基地にはすべての生活必需品が揃っています。
基地内には居住用の住宅をはじめ、
学校から病院や教会、スーパーマーケット、
飲食店や映画館などなど・・・、
娯楽施設なども完備をされています。
さながらアメリカの町そのものが、
そのまま沖縄へ移住をしていました。