アイラブ桐生 第二部・第二章 23~25
それらの一帯を通り過ぎると、また広大な草原が始まります。
鉄条網には、一切途切れがありません
先ほど見えたのは、実は海兵隊の小規模な基地と施設でした。
今度は前方に、大型の輸送機たちが見えてきます。
その横には、迷彩色のジェット戦闘機が
数え切れないほど見えてきました。
朝の日差しに鈍い光を放ちながら、整然として並んでいます。
極東で、その最大規模を誇る空軍の『嘉手納基地』です。
この嘉手納基地からは、かつての朝鮮動乱では、
ここから直接、半島を爆撃のために毎日ここから
爆撃機が飛び立ちました。
ベトナム戦争が泥沼化を見せる中で、
嘉手納基地は一途の拡大強化の道を走り続けています。
アメリカ本土から空母によって
大量に運ばれてきた戦闘機や爆撃機は
ここ嘉手納基地に集結をしてから、ベトナムへ出撃をします。
極東を代表する米軍の基地軍は、そのまま戦争の最前線の拠点です。
沖縄に基地が集中する最大の理由が、
実はここにこそありました。
東シナ海に沿って走るバスの窓からは、
身体を大きく、いくら前方に乗り出して見たところでも
鉄条網の終点は、まったく見ることができません・・・
第2部・第2章 完
作品名:アイラブ桐生 第二部・第二章 23~25 作家名:落合順平