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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「ぶどう園のある街」 第五話

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「お父さん・・・今日少し遅くなるから」
「そうかい。気をつけて帰って来るんだよ」
「うん、大丈夫だから」

交代勤務のメンバーがやってきて美也子は連絡事項を伝えると、明日は休みだから宜しく頼みます、と言葉を交わして帰り支度をした。
線路を渡って約束のカラオケ喫茶の前に来るとすでに洋祐は立って待っていてくれていた。

「来てくれましたね、ありがとう」
「いえ、こちらこそ・・・」
「寒いから車に乗ってください。食事にでも行きましょう」
洋祐の赤い車に乗り込んだ美也子は始めて外車の助手席に座った。

「高見さん、この車って・・・外車ですよね。今日乗ってこられた車は奥様のだったのですか?」
高見は楽器を積み込んでいる車を別に所有していた。乗用車では乗り切らないので軽のボックスカーでボランティアには出かけていた。

「いや、あれは運搬車みたいなものなんだ。荷物が多すぎてこの車には乗らないから買ったんだよ」
「そうでしたか。お仕事って前のコンビニでしたよね?出かけても大丈夫なんですか」
「ああ、こうなると思っていたから人の手配は済ませているんだ。気にしないでいいよ」
「こうなる?・・・そうでしたの」
「言い方悪いけど、キミを誘いたかったから・・・」
「奥様居られるんでしょ?」
「そうだけど、やめておきますか?」
「お話しだけなら・・・お付き合いします」
「それでいいよ。じゃあ決まりだ!」

高見は車をJR駅の方に走らせて、最近出来たイタリアンレストランのチェーン店に着けた。