「仮面の町」 第六話
「ええ?あんな大事故。それもひき逃げなのに、同じ交通課のあなたが知らないなんて、どういうこと?」
「だって、そんな報告朝礼でもされなかったし、担当者同士でも話していなかったから・・・」
「何かの間違いじゃないの?あなたが休んでいて知らされていなかったとか?」
「それはないわ。すべての事故や事件は全員が知っているはずよ。よほど極秘でない限り・・・ね」
「調べてみてよ。橋を渡ったところの交差点で先月初め何時ごろかな、10時は過ぎていたかも知れない時間だったと思うけど」
「そうね、そんな大きな事故だったら記録が残っていない事なんかないから・・・でも、何故その事故を天木さんとあなたが調べているの?」
「あなたが知らないようになっている事故だからよ。隠している事自体が不自然だし、天木さんは取調べまで受けたのよ。結果を知る権利があるって思わない?」
「取調べって・・・犯人扱いされたって言うこと?」
「違うの、現場に居合わせたからなの。目で見た事実なのよ、事故は・・・」
「ひき逃げよね・・・」
「そうよ、そして犯人が信号無視をしたの」
「被害者はどうなったのか知っているの?」
「二人とも亡くなったって聞いているわ」
作品名:「仮面の町」 第六話 作家名:てっしゅう