「仮面の町」 第六話
「お母さんが一緒でも僕はいいんだけど・・・寝る布団がないからどうしよう、優子さん?」
「大丈夫よ。ほら!買ってきたから」そう言って押入れを開けた。
「本当だ!新しい布団がある」
「今日買い物へ行って、これから要るかも知れないからって買ったの。母の分を買ったんじゃないからね」
「いいんだよ、助かった・・・どうして寝ようか考えていたから」
「弘一さん、ありがとう。気を遣って頂いて・・・」
翌朝弘一と優子は仕事に出かけた。残された里枝は掃除と溜まっていた洗濯物を洗って干した。近所の手前もあったので女性の下着類は部屋の中で干した。
優子は昼休みの時間に交通課へ電話をして陽子と今度の日曜日に会う約束をした。弘一は母親の里枝と一緒に隣町のデパートに買い物に出かけた。時間を見計らって話が終わった優子と駅で待ち合わせをした。今夜は外食にしようと話していたからだ。
作品名:「仮面の町」 第六話 作家名:てっしゅう