太嫌兎村
太るのが嫌な兎の村、それは……、太嫌兎村。
しかし、あれは一体何だったんだろうか?
だが、あの摩訶不思議な光景の中に、もう一度自分を置いてみたい。
また、バニーたちにもう一度会って、自分の夢を語ってみたい。
高見沢はそう思う。
そして遂に、高見沢は都会の白く干からびた月を眺めながら決心する。
「よーし、今度の土曜日に、太嫌兎村をもう一度訪ねてみよう。ずっと夢見ていたシャングリラ、そうだ、そこに夢の住まいを探してみよおっと」
高見沢は独りこう宣言し、そして実に軽い足取りで、雑踏の中へとさあっと消えて行った。
それはまるで―― 夢一つを食べて ――、
身も心も500グラムほど、スリムになったかのように……。
おわり