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本日、息子が嫁に行きます

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本日吉日。
一般的に日柄が良いといわれる《大安》の日。
息子が、嫁に行きます。
世間様ではどう見られていようと、私にとっては、かっこいい息子です。
容姿は女子からはほど遠く、都会の二丁目辺りで就職しているわけでもなく、
養子縁組したわけでもありません。
でも、彼が言ったのです。
「嫁に行くから」と。
相手?もちろん……もちろん?男だっけ、女だっけ。

「ねえ、相手って、男?女?どっち?」
「女だよ」

失礼致しました。女性のようです。
何となく、ほっと安堵致しました。
それなら別に「嫁に行く」と言わなくても良さそうなものですが、
最近の若者は、収入で夫婦が決まるとでもいうのでしょうか。
「私が、貴方を支えるわ」と高収入を得る女性が、求めるのは家事のできる男。
そういえば、住宅事情諸々で、学生時代から独立し、バイトか何だかんだと小遣いを得て
遊ぶ金の為にかどうか、自炊する。しかもなんとその器用なこと。
バイトだって、まかない飯付き。そこで覚えてきたりして手際も良いこと。
洗濯物もタイマー付き洗濯機でさっさと洗って貯めてないし、
干し方だって手馴れたもの。パンパン、はい!って。
アイロンを使わなくても、皺がないほどの出来栄え。こちらの方が脱帽です。
掃除だって掃除機なんて要らない。
フローリングの部屋がほとんどだから、ポリプロビレン繊維のふわふわモップか
ペーパーダスターでサァーッと終了。
(何よ。ここに住んでいた時は、埃の中に篭っていても平気だったくせに!)
……とまあ、ひとりで頑張っているのかと思いきや、しっかり彼女まで居るのか。
いや、もうその時点は過ぎていたのだ。
紹介された時には、「一緒に住みます」
次に会ったら、「入籍します」
親。おや!?そうよ。私が親よ。
「そうだよ。おふくろには感謝してるよ。こんなに大事に育ててもらって」
そんなこと言われちゃ、怒りも嘆きも北風に飛ばして、春風のように暖かくなるじゃない。
こんなずるい子にいつなっちゃったの。
もう、安心していいのかな?その彼女に取られてしまうのかな?
「ずっと、おふくろはおふくろで、代わりはないんだから」
「そう言われる親にもなりたいしな」
(こいつー!そこのポイントは外すなよ)
でもね……
子どもが、産めるのは、やっぱり女なんだよ。
安心して子どもが授かるように、彼女をしっかり支えてあげなさいね。

というわけで

『本日、息子が嫁に行きます』

     ― 了 ―


と終わったはずでしたが・・・。

作品名:本日、息子が嫁に行きます 作家名:甜茶