小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

アイラブ桐生・第二部 17~19

INDEX|11ページ/13ページ|

次のページ前のページ
 



 運悪く、途中からこの様子をのぞき見に来た茨城も、
企みに巻き込まれました。
しかし、長時間もモデルを頼むと、京子は身重だから・・
と言いかけた処で、百合絵にスケッチブックで、本気で殴られました。

(もう少し空気を読め。このとうへんぼく。)

急接近してきた百合絵の両目が、本気の怒りで燃えていました。
(そうだ、まだ解決したわけでは無い。これから先が本番なんだ・・・)



 百合絵の意図するところは、よくはわかりません。
とにかく展覧会に出す時のように、自分の代表作を仕上げるつもりで書けと
きつい宣言をされてから、6人によるデッサン会が始まりました。


 ただしモデルの京子にはすこぶる優しいデッサン会でした。
10分もすると、もう休憩が入ります。
モデルが休息している間は、めいめいに細かい部分を仕上げるようにと、
勝手に百合絵がルールを決めてしまいます。
結局、モデルを見ながら書いている時間よりも、
細部をしあげている時間のほうが多くなってしまいました。
百合絵は京子にはりついたままです。
妹と世間話をしている姉のような雰囲気がありました。


 いろいろな角度から書かれた、京子の作品集が出来上がりました。
やはりここでも百合絵の画が、ひときわ抜きん出ていました。
つぶらに描きこまれた京子の瞳の中には、人生そのものを覗きこんでいるような、
凄さと、迫力が秘められていました。
それでいて、どこかに心になごむような優しい光も含まれています。

 百合絵の持って生まれた才能に脱帽しました。
百合絵の筆は、女の本性どころか、人の心の奥深くまで表現しきっています。
絶望と希望が同時に存在をするこの京子の瞳の中に
一体百合絵は、何を見つけたのでしょう・・・・
画家の筆は、人そのものを描き出す。
やはりデザインの世界とは格段に違う目線の深さに、
驚愕を覚えた一瞬です。