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ある村での実情

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 結論から言えば、村長が村から追い出した可能性しかなかった。
 ヤツもそのうち戻ってくると言っているモノが大半だった。ユラもまた、そう思っていた。
 村長は確かに裸の王様を追い出したのだが、根本的な対策を行っているとは考えられなかった。
 ただ、それでも、今は村がいつもの空気を取り戻しつつあることを祝うことにした。明日のことは明日考えようと、ユラは思う。
 今回の件で、自分がどれほどのことを行えたのか、自分がどこまで周囲に影響を与えたのか、正直分からなかった。
 村長に手紙は送ったし、タペストリーという形で自分の想いを表現した。だけれど、それが周囲に影響を与えることができたなんて、ユラは思えなかった。それがユラと、そして裸の王様の違いでもあった。
 ――それでも、ユラは自分の想いを糸で紡ぐ。何故なら、ユラは織物が大好きだったから、愛しているといっても差し支えなかったからだ。
 今日も、草庵から織機の音は聞こえてこなかった。何故なら、ユラは今回、迷わずに紡ぐことができたからだ。だから、今日はもう機織の音はおしまい。ユラのタペストリーは、これで終わりを迎える。
 草庵からは、静かな寝息と草木の揺れる音が聞こえてくるのみだった。

作品名:ある村での実情 作家名:最中の中