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CROSS 第17話 『Difference』

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【時間軸】 … その日の夕方
【場所】 … 同じ世界
       『港町ポルポタ』 シーサイドホテルのラウンジ



「よーし!!! 今日もたくさん食べて飲んでくれ!!!」

 ホテルに戻ってきた山口は、すぐに隊員たちをホテルのラウンジに集め、テンション高めの口調でそう叫んだ。ちなみに、今はまだ夕方なのだが、CROSSの貸切りのような状態となってしまったので、ほぼ満席になっていた。
「オレのおごりだ!!!」
いつ飲んだのかは不明だが、山口はもう少し酔っ払っている感じだった……。
「どうせ、公費ですよね?」
佐世保がからかい、隊員たちは笑った。
「まあ、オレたちの金みたいなものなんだから、別にいいじゃないか!!!」
山口は笑いながらそう言うと、ウェイターにロックのウィスキーをまた頼んだ。
 そして、隊員たちが好き放題に飲み食いし始め、CROSSの宴は進む……。この宴は、飽きることなく、毎晩のように行なわれていた……。店員はてんてこまいで、鯨飲馬食のCROSSに、酒や食べ物を運んでいる。



「山口少佐はあそこだな」

 CROSSの宴の中を、2人のスーツ姿の男が歩いていた。ただのビジネスマンのような服装だが、軍人の顔つきをしていた……。何人かの酔っ払った隊員が、その2人に酒をすすめたり、絡んだりしたが、2人とも完全に無視して、カウンター席にいる山口に向かって堂々と歩いていった。そして、その2人は山口の左側の席に並んで座り、山口に近いほうの男が、
「山口少佐ですね?」
真面目な口調で山口に声をかけた。山口は変な奴らが来たといった感じで、
「……そうだけど、新聞なら『文々。新聞』だけで十分に間に合ってるよ」
そう言った。2人の男は一瞬顔を見合わせ、
「私たちは、少佐と同じ大日本帝国連邦軍陸軍の者です。ちょっと、お時間よろしいですか?」
1人がそう山口に尋ねた。もう1人は周りに目配りしていた。
「この宴の時間にわざわざ聞く価値はあるんだろうな?」
山口はやれやれといった感じでいった。
「ええ、そりゃあもう」
2人の男の真剣な口調と様子に山口は、
「じゃあ、席を移そう」
山口はそう言って水を飲むと、カウンター席から立ち上がり、その2人とともには端っこのテーブル席についた。それ以外の人間は気にせずに、宴を続けていた。この騒がしさならば、誰かに聞き耳を立てられていても大丈夫だろう。