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CROSS 第17話 『Difference』

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 空港には、山口の他にも数人の観光客とビジネスマンがおり、旅客ヘリに乗りこんでいった。そのヘリの機体には、『ローレライ航空』と書かれており、ヘリのパイロットは幻想共和国の妖精だった。そして、そのヘリは、幻想共和国らしく、古臭い輸送ヘリの『S−58』を民間用に改造したものだった……。
 山口は座席に座ると、窓の外を見た。一番端の離着陸パッドから一機のVTOL式貨物機が離陸しようとしていた。その貨物機の型式は『アント』で、大日本帝国連邦メーカーの小型貨物機だった。帝国連邦軍なども輸送機として運用している。CROSSの758号世界にいる中京都軍も使っている。
「?」
山口は貨物機を見て、不審に思った。なぜなら、普通なら何人かいる整備員が、その貨物機にだけは誰もついていなかったのだ。さらに機体のどこにも、どこの航空会社などの所属であるかも、どこの世界の飛行機であるかも書かれていなかった。おまけに、コクピットから、
「あっちの貨物機が優先だってさ。こっちは旅客機なのにね」
という乗員の呟きが聞こえてきた。この世界のように観光産業を重視する世界には、民間機では貨物機より、旅客ヘリのような旅客機を優先させるという決まりがあるはずだ。つまり、あの貨物機は民間機ではないということだ。山口は、貨物機のところに行って身分証を見せ、所属などを問いただしてやろうかと思ったが、乗り遅れるのは嫌なので、座席で貨物機の正体について黙って考えることにした。
 少しして貨物機は離陸し、飛び去っていった。貨物機は、どうみても軍用機らしき荒々しい動きをしており、それを見逃さなかった山口は、あれは貨物機ではなく、大日本帝国連邦軍の輸送機だと確信した……。
 それから10分後、旅客ヘリも離陸し、空港から飛び去った。