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CROSS 第17話 『Difference』

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【時間軸】 … 同じころ
【場所】 … 同じ世界
       『魔法都市ジオ』 フルーツパーラー



 山口は買い物をすませ、オープン式の飲食店に入った。彼は荷物を置いて席取りをすると、カウンターに行き、
「コカコーラをくれ」
アメ公のようなセリフを、カウンターの店員に言った……。店員は、パズルのような姿をしていた。店員は少し考えた後、ゆっくりとした口調で、
「お客さま。コカコーラはございませんが、出口ならございます。その他に、フルーツジュースとカクテルがございますが、いかがしますか?」
そう言った……。山口はやれやれといった様子で、メニューを眺めた後、
「……じゃあ、オレンジジュースにするよ」
財布からお金を出し、カウンターの上に乗せた。
「わかりました」
店員はそう言うと、オレンジジュースを素早く作り、山口に渡した。

 山口は席について、オレンジジュースをチューチュー飲み始めた。手元には、旅行者向けの売店で買った『文々。新聞』という新聞があり、飲みながら目を通す。幸いなことに、CROSS関係の記事(ほとんど悪いほう)は無かった。
 ちょうど昼休みらしく、魔法学園の生徒や教師が、店に続々とやって来た。何人かは山口に気づいたが、気にせずに談笑を再開する。
 そんなとき、郵便配達のペリカンがやってきて、生徒や教師に手紙や小包を配り始めた。山口は足元に置いてある買い物の荷物を手にして立ち上がると、配り終えたペリカンに向かって歩いていき、
「この荷物を運んでもらえるか?」
荷物をペリカンに見せた。
「大丈夫よー♪」
ペリカンが歌うような口調でそう言ったので、山口は荷物を渡し、幻想共和国の紅魔館が送り先であることを告げた。ペリカンは送り先を聞くと、少し驚き、
「たくさんお金がかかるけど、大丈夫−?♪」
そう尋ねてきた。山口が大丈夫だと告げると、ペリカンは少し落ち着いた口調で、郵送料金を山口に教えた。彼は、そんなもんだろうなと呟きながら代金を支払う。けっこう高くついた……。
「ポストに無理やり突っ込んだりはしないでくれよ」
「もちろんよ−♪ ミーに任せれば、大丈夫よ−♪」
ペリカンは自信満々でそう言うと、どこかに飛び去った。

 山口は席に戻り、オレンジジュースをまたチューチュー飲み始め
た。そして、チラリと腕時計を見て、ポケットから時刻表の紙を取
り出して、腕時計の時刻と見比べた。
「そろそろホテルに戻るか」
その時刻表は、幻想共和国の航空会社がやっている旅客ヘリの発着
時刻が記されたものだった。山口たち文明人が、意外にも広い『ファ
・ディール』の世界を移動するのには不可欠の移動手段だ。
 山口は、オレンジジュースが入っていたグラスをカウンターに返
すと店を出て、このジオの城壁のすぐ外側にある空港に向かった。