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「ちょっと待ちなさいよ！！！」

　山口は魔法学園の門のところで、目抜き通りから帰ってきたエメロードに呼び止められた。彼は無視しようかと考えたが、騒ぎになったら面倒なので、立ち止まってやることにした。
「はい、なんですか？」
彼はまるで、警官に職質されたかのような返事をした。
「なんですかじゃないわよ！　あんた、ＣＲＯＳＳの山口でしょ！？」
「……そうだけど、それがなにか？」
「珠魅に手を出したら、ただじゃおかないわよ！」
「……珠魅って何なんだ？　食べ物か？」
山口がそう言うのを見て、エメロードはようやく、山口が何も知らずにノコノコやって来るバカな観光客と同じだということがわかっり、彼女は教えてやらないほうがいいと考え、
「……ああ、なんでもないわ。それじゃあね！」
エメロードはそう言うと、逃げるように学園のほうに走っていった……。もし、馬鹿正直に詳しく教えたりしたら、口実をつくって、珠魅たちが戻ってきている『煌めきの都市』に、少なくとも平和的ではない感じでやってきそうだったからだ……。
「？」
山口は首をひねりながらエメロードを見届けると、目抜き通りのほうに歩いていった。