CROSS 第17話 『Difference』
輸送機の貨物室内には、積荷が散乱していた。山口たちはこの散乱
した積荷の中から、目的の物を探さなくてはならないのだ……その
目的の物であるアーティファクトが入った小包以外の積荷は、カモ
フラージュ用のどうでもいい荷物らしい。
山口は書類を手に、燃え始めている積荷から探し始めた。書類に
は、どのかが番号で記されており、その番号で探すのだが、その番
号の部分がコゲて読めなくなっている積荷もあるので混乱した……。
おまけに、機外から新鮮な空気が入ったかららしく、どんどん炎の
勢いが増してきた……。佐世保は炎に注意しながら、山口に教えて
もらった番号の積荷を必死に探していた。
「あった!!!」
山口が1つの小包を手にしていた。運良く、どこもコゲていなか
った。山口は書類と小包を見比べて、もう一度確認した。佐世保は
手を止めて、額の汗をぬぐりながら山口を見た。
「この小包だ。外に出るぞ」
佐世保は山口のその言葉を聞くと、すぐにドアから機外に出ていっ
た。山口も急いで機外に出た。急いだ拍子に、書類に火がつき、書類
はきれいに燃えて消えてしまったが、もう目的の物は回収したので
気にする必要はなかった。後はこの小包を情報部の連中に届けるだ
けなのだ。
山口たちは、涼しい夜風と新鮮な空気を少し堪能して落ち着くと、
屋上からハシゴで下りた。
山口たちは、屋上から1つ下の階を歩いていた。煙をかなり吸い
込んでしまったらしく、息苦しくて走ることができないようだ。そ
して、天井のヒビ割れは、先ほどよりも広がっていた……。
「それって何なんですか?」
佐世保が、山口が持っている小包を指さして言った。
「工芸品だって言っただろう」
山口が素っ気無くそう答える。
「……ほんとに、工芸品なんですか?」
佐世保が疑う口調で言った……。
「……そういうことにしておいてくれ」
山口がやれやれといった感じで言う。
「なるほど、教えるなって言われてわけですね?」
「…………」
山口は何も答えなかったが、佐世保は納得できた様子だった。
ドーーーン!!!
突然、頭上で爆発音がした……。だが、山口たちはあまり驚かず、
「エンジンが爆発したんだろう」
山口がそう呟いただけだった。しかし、
ガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ!!!!!!
その轟音とともに天井が崩れ、山口と佐世保の間にガレキが降っ
た。今の爆発が引き金となって天井が崩れたようで、ガレキの上に
は、屋上にあった輸送機が燃えた状態で乗っかっていた。そのせい
で、山口と佐世保は完全に分断された……。
作品名:CROSS 第17話 『Difference』 作家名:やまさん