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CROSS 第17話 『Difference』

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 山口と佐世保は塔の中をどんどん進んでいった。内部は名古屋の
地下街のように複雑で、階段を探すのが大変だった。そこで山口た
ちは、昇降装置というエレベーターを見つけたら使うことにした。
そして、非常階段や非常ハシゴも駆使すれば、屋上まですぐだ。
 昼間のこの塔は観光客で賑わうが、夜間のこの塔は不気味なほど
静かだった。山口たちはまだ「先客」を発見しておらず、なるべく
喋らずに進んだ。



 そして、3階で山口たちは、その「先客」を発見した。「先客」
は2人のザフト軍将校の男で、彼らは昇降装置の小部屋にいた。
昇降装置を使うつもりなのだろう。
 だが、いつまでたっても昇降装置の小部屋のドアは開いたままで、
昇降装置が動く様子はなかった……。2人の男は、壁を必死に調べ
ていた……。間違いなく、昇降装置を操作するためのスイッチを探
しているようだ。スイッチは真ん中にある水晶なのだが、彼らは、
水晶はただのオブジェで、壁に「ちゃんとしたスイッチ」があるは
ずだと思っているようだった……。そのうちの1人が、音声による
操作だと思ったのか、大声で、さっさと上へ行けとか怒鳴っていた
……。
 その光景を見た山口たちは笑いそうになっていた……。
「同乗させてはもらえなさそうだし、他にも仲間がいたら面倒だ。
 あの昇降装置を使うのはあきらめよう」
「あいつらが昇降装置の使い方を知るまでの時間の分の余裕があり
 ますしね」
佐世保が笑いをこらえながらそう言った。
「そういうことだな」
山口たちはその場から静かに移動した。。
 別の階でまた昇降装置があり、その昇降装置内で、山口たちは思
い出し笑いをしていた……。



 そして、山口たちは屋上のすぐ下の階に着いた。彼らは、屋上に
行くためのハシゴを見つけると、それを使って屋上に上がった。こ
のハシゴは、主に航空障害灯の点検のために使われている。
 その階の天井には大きなヒビ割れが走っていた……。



 屋上には、輸送機の破片や塔の石が散乱していた……。輸送機は
炎上していたが、人の気配は全く感じられず、山口たちは少し安心
した。しかし、安心するのはまだ早く、山口たちは目的の物を回収
するために、輸送機に向かった。
 輸送機のドアをこじあけると、機内の炎からの熱気が、山口たち
を包みこんだ。黒煙もドアからもうもう出てくる。
「あつ!!!」
佐世保が一歩後ろに下がった。
「急いで回収するぞ!!!」
山口はそう言うと煙がたちこめる機内に飛びこんでいった。佐世保
も嫌々後に続いた。