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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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ぼくとフーボの日々

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 フーボは勉強も好きだった。国語でも算数でも授業中はぼくよりも熱心に聞いていて、宿題をするときはずいぶん役に立ってくれた。テストの時も、ぼくが覚えていなかったところを、フーボの記憶でカバーできた。おかげで成績もずいぶん上がった。
「まさと。フーボのおかげで勉強もできるようになったわね」
 お母さんはフーボがぼくに教えてくれていると思っているんだ。
 かと思うと、フーボはぼくの生活に口を出すこともしばしばだった。やれ、食べた後の食器をかたづけろだとか、ぬぎっぱなしの服をたためとか。
 お母さんは自分がいう小言をフーボがかわりに言ってくれるのでたすかるなんて言ってるし、おかげでぼくの家での立場はフーボよりも格下だ。そういうところがちょっとうざったく感じることもある。
 あるとき、フーボが言った。
「まさとくん。明日はテストでしょ。少しは勉強したらどうなんですか?」
「ああ、だいじょうぶだよ。フーボが全部覚えてくれているだろ」
「だめですよ。それじゃあまさとくんのためになりません」
「だったら、おまえ、ぼくの体からでていけよ」
 フーボはだまってしまった。そう。ぼくはフーボがうざいときは決まって「でていけ」っていうことがくせになっていた。フーボがそれを言われたら一番困ることをぼくは知っているから。
 テストはさんざんだった。フーボは自分の気持ちをぼくにさとられないようにしゃだんしていたんだ。考えてみれば、フーボの能力は普通じゃないんだから、そういうことも可能なわけだ。
 でも、ぼくは自分の悪いところをたなに上げて、フーボのせいにした。
「ちょっとくらい教えてくれたっていいじゃないか」
「なにを言うんですか。みんな自分で覚えてきてテストを受けているんですよ。わたしが教えたら、まさとくんだけずるいじゃないですか」
「だって、おまえとは一心同体だろ。おまえが覚えたことはぼくが覚えたってことだろ」
「それはへ理屈というものです」
 さんざん言い合ったあげく、ぼくとフーボの仲はけんあくになった。