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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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ぼくとフーボの日々

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 お昼すぎに玄関のチャイムが鳴った。ぼくはベッドのなかでぼんやりときいていたけど、じきにお母さんがやってきた。
「まさとのクラスのお友だち。ケイコさんって方。お母様とみえたの。あとでまさとにあいたいっていってるけど、だいじょうぶ?」
 ぼくはうなずいた。ケイコちゃんにあえるなんてちょっと元気が出た気がする
 やがてケイコちゃんがお姉ちゃんにつれられてぼくの部屋にやってきた。
 リビングではまだ大人たちが話している。ケイコちゃんは、
「ママの前でフーボのことは話せないでしょ」
と、ウインクして言った。
「フーボはどう?」
「まだ目が覚めないんだ」
「死んじゃった訳じゃないのね」
「うん。なんていうんだろ、生体反応っていうのかな、みたいなのは感じているんだ」
 ぼくとケイコちゃんの会話をだまって聞いていたお姉ちゃんが言った。
「昨日、フーボは力を使いはたしたって言ったわよね」
「うん。それに、ぼくの体にはもういられないって」
「わたしの想像だけど、たぶんフーボは普通のフジツボにもどるんじゃないかしら」
「そうか。じゃあ、どうすればいいと思う?」
 ぼくが聞くと、お姉ちゃんは言った。
「もとの海に返してやるのが一番いいんじゃない?」
「海に?」
 ぼくとケイコちゃんが同時に聞き返した。
「そう。そうすれば、ひょっとしたら、あんたの熱も下がるんじゃない?」