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アイラブ桐生・第二部 14~16

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 電話をかけると、
面接をしますので、すぐにでも
来てくださいという話になりました。
場所は意外に近くでした。
笹塚駅の反対側の道を、
5分ほど歩いたところにある住宅街の一角です。



 こんなところにあるのかしらと、半分疑いながらも、
教えられた通りの道順を辿っていくと、現れたのはやはり普通の民家です。
看板もなく、それらしい雰囲気さえもありません・・・・
とりあえず、玄関のベルを鳴らしてみると、
「は~い」と元気よく、先ほどの電話の声が聞こえました。
どうぞと案内をされてそのまま応接間へ通されました。
そこには私と同じ歳くらいの青年と、ひげのご主人らしき男の人がいて、
顔を見るなりいきなり、短刀直入の質問が飛んできました。


 「いつから来られる?
 君さえ良ければ、今夜からでも仕事に来てくれたまえ。」


 あれ?今日は面接に来ただけですが、と答えたら、

 「そういうな。
 てんてこまいで、梃子(てこ)が今すぐ必要なんだ。
 よかったら今夜から手伝ってくれ。」


 ひげの親父が、此方の都合も聞かずにさらに言葉を重ねます。
電話では透き通った声で、感じのよい応答をしてくれた奥さんが、
見かねたように助け船を出してくれました。



 「ごめんね、ぶっきらぼうすぎる話で。
 この人ったら気が早すぎて、いつもこうなのよ。
 実は、私がこうなっちゃったもので、現場にはいけないものだから、
 急きょ、お手伝いさんを募集したところなの、
 あなたみたいに感じが良くて、
 お若い人がきてくれるとうちも大助かりだわ。
 それに、茨木君の良い話し相手にもなれそうだし、
 ねぇ、茨城くん。」


 そんな風に説明をして、自分のおなかを指さした後、
奥さんが、ひげ親父の背中を叩きながら、
すこぶる明るく笑いこけています。

「うん、そういうことだ。じゃあ手伝ってくれたまえ。
 早速で悪いが名前だけでも教えてないか。
 どうにも、呼び方に困る。」