もう一つの部屋
「もしかして、隣のひとじゃないですか?」
斎田美貴のその声は、実に爽やかだった。
「はい。いつもうるさくして恐縮です」
「こちらこそ。高槻さんは五年前からでしたね。わたしはもう七年もあのマンションに居ます」
「そうですか。ところで、キャビンアテンダントというお仕事は、いろいろご苦労があるでしょうね」
美貴はあはははっと笑った。
「何かおかしいことを云いましたか?」
「だって、キャビンアテンダントだなんて……わたしは空港の売店で働いているんです」
「そうですか。失礼しました。美人だし、スタイルもいいので……」