小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

アイラブ桐生 9~11

INDEX|5ページ/12ページ|

次のページ前のページ
 


 道路はそこからさらに、
能登湾の海岸にそって左から右方向へと回り込みます。
人家の途絶えた静かな道は、なだらかな斜面と海の間をさらに
北端へと向かって延々と続いていく
気配だけを見せていました。


 輪島があるのは、この道路とは正反対の西海岸です。
朝市で知られている輪島へ向かうためには、
もうこのあたりから半島を横断して、
外洋に面した西の海岸線に出る必要がありました。
そろそろ横切る道路でも探そうか・・・
そう思い始めて、適当な道路を物色しはじめた矢先に、
レイコが前方に何かを見つけて指をさしました。


 海の上には、丸太で組まれた櫓(やぐら)が立っています。
同じように造られた櫓が、海岸近くを点々とならんでいました。


 「俺たちの盆踊りは、道路の真ん中でやぐらを組んで八木節をやるが、
 此処の連中は、海の上で盆踊りをするのかなぁ・・。」


 「なぁに馬鹿いってんの。
 そんなはずないわよ、河童じゃあるまいし。」

 (おいレイコ。海に、河童は住んでいないぜ!)




 良く見ると櫓は全体として、貧弱と思える造りです。
丈夫そうな丸太で組まれていますが、
床の部分には簡単に板が渡されているだけでした。
日差し除けの屋根として、頭上にすだれがチョコンと乗せてあるだけで、
人の気配はありません。
なんおための櫓でしょう・・・・




 「なんなんだろうね・・一体。」



 過ぎ去る櫓を後ろ向きに見送りながら、
レイコがいつまでも小首をかしげています。

作品名:アイラブ桐生 9~11 作家名:落合順平