携帯電話
「ありがとう、じゃあ私、高ちゃんの横に座らせて・・・もらおっと」
チーママ・ハナちゃんは、まことに可愛いことを言ってくれるではないか。
髪は長く、その色合いは明るいモカベージュ。
そして、静脈まで透き通るほどのきめ細かな白い肌。
腰はくびれ、くくっとしなりそうなスリムさ。
実に喰らい付きたくなる程の艶かしさがある。
高見沢は、ハナちゃんをあらためて見て、色香を武器にして夜を生きる魔性の女かと思った。
「ああいいよ、新任チーママさんのハナちゃんが隣に座ってくれるなんて、大光栄だよ」
高見沢はぞくぞくっとしながら大満足。
そして、仲間達のそれぞれの座る場所も決まった。
その隙間に、三、四人の他の美女達が割り込んで行く。
みんな既に一次会で目一杯のアルコールが入っている。
その上に、華やかに乱舞する夜の蝶達が隣に留まりに来てくれた。
当然のこと、宴はさらにワイワイと盛り上がっていく。
そんな大変愉快な真っ最中に、高見沢のケイタイが鳴ったのだ。
「なんだよ、こんな至福絶頂の時に・・・」
高見沢は内ポケットより邪魔くさそうにケイタイを取り出した。
架けてきている番号の表示をチェックしてみると、それはなんと・・・・・・
なんと、妻の夏子からだった。