携帯電話
それは実に最近の話しだ。
高見沢は、会社の懇親会の後、二次会で、
何人かの気の合う同僚や友人達と夜の花街へと繰り出した。
そして、久々に高級クラブへと押し掛けた。
随分との御無沙汰だった。
「おっおー、ママ元気だった?」
高見沢は懐かしそうに挨拶した。
「ホントね、お久し振りね。今日はちょっとゆっくりしていってよ・・・
ねっ、ねっ・・・タカク~ン」
ママから妖艶なお色気が伝わってくる。
「ああ、いいよ、今日は職場の戦友達だから、よろしくね」
高見沢はいたって調子が良い。
そんな時に、真っ赤なイブニングドレスをセクシーに着こなし、腰を振りながら女性が近付いてきた。
「高見沢さん、ちっとも逢いに来てくれはらなかったんよね・・・・・・このイケズ!
私、ハナでーす」
「えっ、ハナちゃんて? エロッぽく貫禄出てきたじゃん」
高見沢は目を白黒させる。
すると横から、ママが改めて紹介してくれる。
「今度、チーママでデビューしてもらったんよ」
「へえ、そうなんだ、ハナちゃん、出世したんだ、おめでとう。
チーママって・・・いわゆる係長さんなんだ。じゃあ今日は昇進のお祝いで、パーと華やかに騒ぐか」
まことにノリノリの上機嫌。
これに応えて、フェロモンたっぷりのハナちゃんは艶然(えんぜん)と微笑み返してくる。