携帯電話
その後、夏子から遂にトドメの通告が発せられてくる。
「三十年前に言ったでしょ・・・お金は・・・ぜーんぶ!
私だけのために使って!」
高見沢は、結婚以来何回か繰り返されてきたこの重い通達を再度受けて、
もうどうしようもない疲れが一気に噴き出してきた。
夏子はまた切れてしまったのか?
しかし、まだまだ追求がこれでもかと継続して行く。
「第六感機能の感知作動をオンにして・・・・・・その情報送って!」
高見沢は事ここに至ってはもう仕方ないかと諦め、ヤケクソ気分。
そして、第六感機能情報を送信したのだった。
高見沢は、決して良い結果にはならないだろうと覚悟を決めていた。
そして、残念ながら、やっぱり案の定だった。
夏子から直ぐに返答があった。
「アナタ、ケイタイの第六感機能が明確に感知結果を伝えてきてるよ。
いい、よーく聞きなさいよ!
浮気下心の気配ありとね!
直ぐに帰って来ないと、私達の夫婦も・・・・・・もう終わりね」
まさにそれは夏子からの最後通牒だった。