携帯電話
早速、夏子が鋭く聞いてきた。
「アナタ、そこの派手な赤い服着て座っている娘・・・誰なの?
お品がなさそう・・・ホントに、そこは居酒屋なの?」
高見沢は返答のしようがない。
しかし、これは世の常。
嘘は嘘を呼び込んでしまう。
「いやあ、隣のお客さん達だよ。どこかのお水系の人達なんだろうなあ」と、四苦八苦。
「じゃあ、嗅覚モードにしてちょうだい!」
夏子が突っ込んできた。
高見沢は、「ああ」と言われるままに指示に従い、モード変更して嗅覚情報を送信した。
「なによ、その下品な匂い・・・・・・まるで野良猫ね」
それに対し、高見沢は見え透いた嘘を吐いてしまう。
「さっきニンニク焼き一杯食べたから、その異臭が混ざったのと違うかな」
夏子はそんな言い訳では納得しない。
「ウソでしょ、そこの女の香水の匂いでしょ。
アナタ、触覚モードにしてみて、それでその子の肌をちょっと触ってくれない」
遂にトンデモない要求が飛び出してきた。
高見沢はこれには慌てた。