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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十一回・参】ちもきのぽぽんた

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「だぁああああああ!!!!!;」
南がホームから去って十数分後深川行きの電車が発車時刻を迎えていた
「まだか南はもー!!!;」
搭乗口のすぐ側でありすがじっと南の駆けて行った方向を見ている
「ありすそろそろ席に座りなさい」
母親が窓を開けてありすに言うとほぼ同時に電車から発車の合図であるプアンという軽い音が鳴った
「アカンー; もーアカン;」
坂田が頭を抱えてしゃがむ
「ほら…お兄ちゃん達にバイバイって」
嫌がる無理矢理ありすを電車内に引っ張りながら母親が言った
プシュンと自動ドアが閉まると二度目のプアンという音と共に電車の車体がゆっくりと動き出した
「だぁああああ!!!!; 南のや…キタ--------------------!!!!」
ゴトンと音をさせて動いた車輪の音に対抗するかのように中島が指差した方向にはこっちに向かってかけてくる南
「はよはよ!!!!; 早くってば!!;」
坂田と南の様子に気づいたのかありすが母親の手を振り解いて1両編成の電車緒の一番後ろに向かって駆け出した
バンっとガラスに手をついたありすがバンバンと窓を叩くが発車し始めた電車は徐々に速度を上げていった
「だー!!; ストップストップトレイン!!!; はよはよ!! 南----ッ!!!;」
坂田がギャーギャー喚くが電車は止まることなくホームから遠ざかっていく
「どこいってたんだよ馬鹿---------!!!;」
息を切らした南が顔を上げて見たものは窓に手をついたまま泣きそうな顔をしているありすとブレーキ音を響かせて止まった一台のチャリンコ
「だから無理っていったじゃんか!!;」
「便所で二度寝するからだっちゃッ!! 馬鹿ッ!!」
「京助が馬鹿なのは生まれつきなんだやな」
「そうなんだやな」
「うっさい!!;」
ギャーギャー騒ぎながらチャリンコから降りたのは京助と緊那羅そしてコマとイヌ
「何してたんだよ!!;」
ハーハーしている南に坂田と中島が駆け寄るのを見て京助達もつられるように駆け寄った
「こ…れ…渡したくて…」
そう言いながら南が見せたものはタンポポの花輪
「お前なぁ…モノより思い出っていうじゃん; ありす泣いてたぞ?」
中島が言うと息を呑んだ南がその息を大きく吐き出した
「…そ…っか…」
そして力なく言う
「今からじゃチャリでも…」
もはや豆粒に等しい大きさになった電車を見て坂田が言うと一同が黙り込んだ
「こんな時ナウシカのアレがあればなぁ…」
空を飛ぶカモメを見て中島が言う
「箒でもいいと思うぞ」
「むしろネコバスだろニャンコバス」
京助が言うと坂田も続く
「山犬でも充分……犬…」
再び言った京助がハタと視線を下に移した
「なんだやな?」
京助の視線の先にはきょとんとしたコマとイヌ
「…なぁお前等…」
京助がしゃがんでコマとイヌを見た