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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十一回・参】ちもきのぽぽんた

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「…なんだよ」
視線を感じた中島が横目を向けた
「落ちたわ」
吉祥が一本のタンポポを差し出した
「…やるよ」
どうやら中島の頭の上の花冠から落ちたらしいタンポポを見て中島が言う
「もらって私どうすればいいの?」
吉祥が聞く
「知るかよ; 指輪にでも腕輪にでもすりゃいいじゃん」
中島が答えた
「指輪…?」
吉祥がタンポポを見て首をかしげる
「…かせよ」
溜息をついた中島が吉祥からタンポポを受け取った
「手」
「え?」
「手ぇだせ」
中島が言うと吉祥がゆっくり手を差し出しその指に中島が茎を裂いたタンポポを巻きつけた
「ホラよ」
きゅっと茎を縛って中島が手を離すと吉祥が手をじっと見た
「あ~あ~…駄目やんけーでっかいのー」
「うぉ;」
中島の上に阿修羅が乗りかかってきた
「あっくん」
吉祥が言うと阿修羅がハオと手を上げる
「何が駄目なんだよ;」
うざったそうに中島が聞くと阿修羅がにーっと笑いそして中島に何か耳打ちし始める
「…はぁッ!!!?;」
「アッハッハ!!!」
しばらくして顔を赤くして中島が声をあげ阿修羅が笑うのを見た吉祥が首をかしげた
「ではありすのリクエストにお答えしまして我等が歌姫緊那羅が歌います!!」
「誰が姫だっちゃ誰がッ!!!;」
結局歌うことになった緊那羅が坂田の紹介に突っ込んだ

春先の風に乗って気持ちいいくらいに響き渡る緊那羅の歌声
「…俺等が歌うとギャグにしかならない歌なんにねぇ…」
緊那羅が歌うのは悠助から教えてもらったという小学校の校歌
「なんという歌なのだ?」
迦楼羅が京助に聞く
「校歌って言って…なんだ…学校の歌…でいいのか?」
「アタシに聞かないでよ;」
聞かれた京助が更に阿部に聞く
「緊那羅の歌おいちゃん好きだよ」
鳥倶婆迦が言うと丁度歌い終わった緊那羅がほぅっと息を吐いた
「ブッラボー!!」
瞬間坂田が立ち上がって拍手を起こした
「相変わらずいい声してるね」
聞いてる最中手を止めていた矜羯羅が再び口に物を運びながら言った
「ありがとだっちゃ」
緊那羅が少し照れながら笑った
「なぁ…」
お茶の入った紙コップを手に取った緊那羅に京助が声をかけた
「あのさ…俺あの歌聞きてぇんんだけど」
「あの歌?」
一口お茶を飲んだ緊那羅がきょとんとした顔で京助を見る
「前にホラ悠に歌ってた…子守唄っぽいの」
京助が言うと緊那羅が少し考え込んだ後悠助を見た
「どうしたの?」
悠助が首をかしげた笑顔で緊那羅を見返した
「子守唄って…ぼぉや~良い子だ金だしな~ってのか?」
中島が替え歌を歌う
「…お前相変わらず音痴な」
中島の歌を聞いた坂田が突っ込む
「緊那羅の歌の後だから余計に聞こえが悪いですね」
乾闥婆がさらっと毒を吐く
「あっはっは!! なんだかスゲェいわれてんなーでっかいの」
バシバシと中島の背中をたたきながら阿修羅が笑った
「痛ってぇし!; ってかお前等も何かやれよっての!!!;」
中島が怒鳴る
「何かってもねぇ~…何」
阿修羅が逆に中島に聞いた
「何って…何かねぇのかよ…;踊るとか…漫才とか」
聞かれた中島がボソボソと例を挙げる
「踊り?」
それを聞いていた吉祥が立ち上がった
「踊るんか? ヨシコ」
立ち上がった吉祥を阿修羅が見上げる
「何かやらないといけないんでしょ? そうなんでしょ? なら私もやるわ」
にっこりと吉祥が笑った
「緊那羅頼んでいい?」
くるっと1ターンをすると一瞬にしてあの摩訶不思議な格好になった吉祥が緊那羅に言う
「わかったっちゃ」
頷いて笑った緊那羅の手にはいつの間にか笛が握られていた
「…何見てるのか一目瞭然なんだよね…アンタ」
本間が阿部に言うと阿部がビクッと肩を上げた
「な…別にアタシは…何食べたら乳がとか…ッ;」
「自分からばらしちゃうところとか私は好きだけどね…」
慌てる阿部に本間がふっと笑った
「…驚かなくなりましたね」
乾闥婆が本間を阿部に言う
「そりゃね…何回目だか…でも見てるんだから疑えないし」
本間が言った
「人間だけが生きてるわけじゃないしね」
「…そうですか」
本間がニッと笑って言うと乾闥婆が笑った
「それにあんまり突っ込んで聞いても…無駄なんでしょ」
「そう…かもしれないですね」
「…アタシ付いてってないんだけど;」
淡々を受け答え会話を進めていく本間と乾闥婆に阿部が小さく突っ込んだ