【第十一回・参】ちもきのぽぽんた
「ありすはタンポポ好きか?」
南が小さな手を掌に包み込むように握って歩きながらありすに聞くとありすが嬉しそうに笑って頷いた
「そっかーこれからいくトコにはタンポポがいっぱい咲いててさー」
ありすと同じくらい嬉しそうな笑顔で南が話す
「おーおー…ほほえましいカッポー」
ソレを見て坂田が茶化すように言った
「アレだけ素直だと本当嫌味ナシで可愛いよな」
中島がどことなく強めの口調で言う
「…何頷いてるんですか? 迦楼羅」
中島の言葉の後にしみじみと頷いた迦楼羅に乾闥婆が聞いた
「や…んんっ!;」
いつもながらの (どことなく怖い)笑顔で聞いてきた乾闥婆に迦楼羅が咳払いで返す
「どうしたんだっちゃ? 吉祥」
中島の持ってきた蜜柑の服に着替えた吉祥が不機嫌そうな顔をしているのを見て緊那羅が声をかける
「なんだか今のゆーちゃんの言葉…私に向けられてるような気がしなかった? ねぇ? そう聞こえなかった?」
吉祥が緊那羅に問い詰める
「え…っと;」
緊那羅が困った顔で少し後ずさりする
「…今の中島の言葉に同感した人半分以上いると思う」
本間が隣を歩く阿部をチラッと見て言うと阿部がキッと本間を見た
「…素直…」
慧光が呟きながら自分のやや後ろを悠助と手を繋いで歩く慧喜を見た
「その点においちゃぁばかも素直だよな~ハッハ」
「鳥倶婆迦だッ!!」
阿修羅が笑いながら鳥倶婆迦の頭を撫でた
「…だってさ」
「何が」
矜羯羅がトンっと軽く京助にぶつかりながら言う
「…ってさ」
矜羯羅の真似してなのか制多迦も同じように京助にぶつかった
「だから何が;」
早足で少し前に出て二人を振りかえって京助が言う
「我慢ってし続けると素直じゃいられなくなるみたいなんだよね」
矜羯羅が言うと制多迦が頷いた
「…んがらもそうだもんね」
「うるさいよ」
ペシッ
制多迦が言うと矜羯羅が裏手で制多迦の額を叩いた
「俺は別に我慢とか…;」
「京助ー!!」
何か言おうとした京助を坂田が前の方で呼んだ
「…してねぇよ」
少し間を置いて京助がそうい言い残し坂田の元に駆けて行く
「…んがら最近よく喋るし表情コロコロ変わるようになったよね」
赤くなった額を撫でながら制多迦が言う
「…そう? …だから何?」
矜羯羅が返す
「…かったなーって思う」
制多迦がヘラリと笑った
「…君は少し顔を引き締めるようにしないとね」
矜羯羅が制多迦の頬を引っ張った
作品名:【第十一回・参】ちもきのぽぽんた 作家名:島原あゆむ