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83.ハルカ



 明日は、社長さんとの待ちに待ったデートの日だ。楽しみ。ウキウキしすぎて、眠れそうもない。

 明日、何かが変わる。それは“関係性”なのか、それとも私の“心”か、はたまた私の“未来”かもしれない。とにかく、他の人にとって取るに足らない一日かもしれない。でも、私にとって明日のデートは、天地がひっくり返るような、劇的な、ターニングポイントなの! 理屈とかそんな陳腐なものじゃなくて、直感的に、確信できる。

 私がそんなことを考えていると、社長さんから返信のメールが届いた。

『私も、ハルカ君と会えることを楽しみにしています。ちなみに、明日のデートのことですが、商店街でお祭りがあるのですが、そこに行くというのはどうでしょうか?』

 “ハルカ君”だなんて……うれしくて死にそう! それに“楽しみにしています”だって。社長さんも楽しみにしていてくれたなんて……あぁ、胸のトキメキが止まらない!! 心臓の拍動がどんどん激しくなっていく。もう、これは病といえるくらい、胸が苦しい!

 私は痛む胸を押さえながら、ウキウキ気分で社長さんに返信のメールを送った。

『商店街のお祭り、ステキです! 楽しみです!! 楽しみすぎて胸のドキドキが止まりません!!!』

 メールを送って十秒後、改めて送った文章を見て、私は後悔した。ウキウキ感情が文章に表れすぎている。社長さんに変な子だと思われなければいいのだけれど……。

 そう思うと、気持ちが落ち着き、私は少し冷静になった。そして、冷えた頭で明日のデートについてもう一度深く考えた。準備は大丈夫だろうか? 財布はカバンにいれた? ハンカチーフは? 着ていくものは? ……商店街でお祭りということは、浴衣を着ていったほうがいいのかしら?

 私はあまりにも気持ちが不安定で、どうしたらいいのかわからず、誰かに相談したいと思った。このとき、一番に思い浮かんだのは……川島さんだった。

「川島さん、まだ起きているかしら?」

 私はそんな小言を呟きながら、川島さんにメールを送った。