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73.警察官川島



「ハルカちゃん、まだかな」

 俺はイタリアン『天使のお零れ』で一人、ハルカちゃんが来るのをソワソワしながら待っていた。

 一週間前に予定していたランチの約束が田中敬一のせいで流れてしまったので、今日はその“埋め合わせ”という名目でハルカちゃんから再びランチに誘われたのだ。



「あ、ハルカさん! こっちです、こっち!」

 数分後、ハルカちゃんがイタリアン『天使のお零れ』にやってきたので、俺は大きく手を振ってハルカちゃんを呼んだ。

 自分では昂ぶる感情を抑えていたつもりだが、はたから見たら、ただ嬉しくて無邪気にはしゃぐ子供のようだったと思う。好きな人に会える嬉しさを隠すなんて、俺には無理だから、しょうがない。

「川島さん、こんにちは」

 笑顔で俺にあいさつをしながら、ハルカちゃんは向かいの席に座った。

「ハルカさん、この前は本当にすいませんでした!!」

 そして俺は、ハルカちゃんが着座するのと同時に、全力で頭を下げた。