カシューナッツはお好きでしょうか?
70.警察官川島
「……というわけで、ハルカちゃんにお前のデートを見せるわけにはいかないんだ。悪いけど、場所を変えてくれないか?」
俺は素直に事情を話し、田中敬一に頭を下げた。
「うむ……了解した」
田中敬一は俺の心情を察してくれたのか、素直に了承してくれた。
「よかった……。お前にはいつも迷惑かけて悪いな。ほんと感謝してるよ。ところで、デートの相手はどんな人なんだ?」
俺が興味本意で聞くと、田中敬一はまんざらでもない顔で話し始めた。
「実は、私がアイドルプロダクション『わっしょい』で川島君に捕まった日に、出会った人でね。私がうっかり落とした携帯を届けてくれて、そこから何回か食事に行くようになったのだよ」
嬉しそうに女の話をする田中敬一を見ていると、少しイラッとする自分がいた。俺の恋は前途多難だというのに、何故この老け顔のおっさんがモテるのか皆目検討がつかない。
「未実さんという人なんだが、もとアイドルで、色白美人で、スタイル良くて、やさしくて……」
しかも、相手はもとアイドルの美人だというじゃないか。ハルカちゃんといい、この男はアイドルにモテる顔なのか?
俺はその後もイライラしながら、田中敬一のノロケ話を聞いた
作品名:カシューナッツはお好きでしょうか? 作家名:タコキ