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45.ふけさん



「ごめん、店主殴った」

 少女は語る。

「歌詞が全然思い浮かばなくて、むしゃくしゃしてた」

 私は頷く。

「豆腐屋に行って、実際に『暗黒豆腐』を見れば、歌詞が思い浮かぶと思った」

 少女は語る。

「そしたら、店主がなれなれしい態度で近寄ってきたの」

 私は頷く。

「最初から、いけ好かないヤツだとは思ってた。でも、私我慢したんだよ。ふけさんの努力を無駄にしないように」

 少女は語る

「でも、あの店主、糞不味い『暗黒豆腐』を無理やり私に食べさせて」

 私は頷く。

「私、我慢できなくなって、殴った。ごめんね、ふけさん」

 少女は語る。そして、謝罪する。私は、「もう終わったことはしょうがない」と少女を慰めようとした。少女が「でもね」というまでは……。