カシューナッツはお好きでしょうか?
13.カエデ
「き、君以外の人が、目に入らなかったからです」
ふけさんはオドオドとした表情で、あからさまな嘘をついた。
「ぷ、ぷははは!」
私は思わず笑ってしまった。あぁ、この人はなんて嘘をつくのがへたくそなんだろう。そう思うと、何だか怒る気も失せ、何もかもがどうでもよく思えてきた。
「ふけさん、あんた金持っている?」
「あ、ははい。それなりに。一応社会人なので……」
「よし! それじゃ、行くよ!」
「え? ええ?」
私はキョトンとしているふけさんの手をとり、繁華街へと向かった。
作品名:カシューナッツはお好きでしょうか? 作家名:タコキ