カシューナッツはお好きでしょうか?
11.カエデ
「オラオラオラオラ!!」
おっさんを殴っていると、少し気が晴れた。ここ最近、オーディションというオーディションに落ちまくり、少し気持ちが落ち込んでいた
。
2ヶ月ほど前に受けたアイドル『カシューナッツ』のオーディションでは、このおっさん社長に邪魔されて落選した。この落選を機に、私は調子を崩し、その後に受けたアイドルオーディションでは1次、2次審査での落選が続いた。
最初のころは落選しても「こんなに魅力的な私を落とすなんて! なんて見る目のないやつらだ!」と強気でいられた。でも、さすがに50回近くオーディションで落とされると、自分はアイドルとしての素質がないのではないかと、かなり気持ちが落ち込んでいた。
「くそ! 社長がなんだ! このやろう!」
私はここ最近オーディションで落とされたのは、この社長が元凶のような気がしてきて、さらに激しくおっさん社長をぶん殴った。
「ま、まってくれ! わ、私は社長じゃないんだ!」
私は思わずコブシを止めた。社長じゃない? どういうこと? 私の思考は停止した。
作品名:カシューナッツはお好きでしょうか? 作家名:タコキ