TranceMix! 1話
それにしても、最近、宇宙人の進撃がない。
2か月前のあれっきりだ。
U・M・O隊からすれば良い事なのだが。
「どうした?セイジ。悩み事か?」
セイジと同じ前線班の、池谷コウキ(いけたに こうき)が話しかけてくる。
「いや、悩み事ってほどじゃないけど、最近、あいつら攻撃してこないなって」
セイジは思ってた事を言ってみる。ちなみにあいつらとは宇宙人のこと。
コウキははにかみながら、
「いい事じゃんか」
そう言う。
「たしかに、いい事だけど、怪しくない?」
「怪しい?」
「だって、罠にかかったのは大人たちだけで、しかもあいつらもそれは知ってる」
「うん」
「だったら、子供達はどうした?ってなると思う」
考えをまとめて、言ってみる。すると、
「ならないんじゃないか?」
セイジにとって意外な答えが返ってきた。
「え?」
「だって、子供だぜ?あいつら、眼中にねえよ」
…言われてみれば、そうかもしれない。
「それに、この国の3/4はあいつらが掌握してて、さらに残ってる1/4も、ここら以外はどうなってるかわかんねぇ」
「…あいつらにまた取られたかもしれない」
「そういうこった。あいつらも、そんだけ取れりゃ十分だろ」
…そうか。そういう考え方もあるのか。
その時。
ジリリリリ!!!!
感知班によってベルが鳴らされた。
「これって!!」
「ああ、そういうこった!」
急いで耳に無線装置をつける。
そしてそのまま、本部前の広場に出る。
あのベルは襲撃の合図。つまり、あいつらがここらにやってきた、という事。
これが初めての戦闘。
セイジもコウキも緊張している。
UMO隊本部の周りは森に囲まれている。なので、必然的に基本戦術は待ち伏せになる。
通信班によって、敵の情報が知らされる。
『本部から2時の方角、1.5km先に宇宙人30人を発見!こちらに向かってきてます!』
「みんな!位置について!」
戦闘班リーダーであるヒトミから命令が下される。
その一言で、みんな訓練通り、配置につく。
『宇宙人が前線班にたどりつくまであと500m!』
あいつらはすぐそこまでやってきている。
みんなが武器を構える。
「来たわよ!!」
そう言うと同時にヒトミは、手に持っていた日本刀で、宇宙人に斬りかかる。
ドン!
斬られた宇宙人が倒れこむ。斬られた部分から火花が飛び散っている。
「!ここにいたのかガキども!!」
そう言って懐から拳銃を取り出す。
が、コウキの方が早い。
手に持った2丁拳銃の、圧倒的速度で宇宙人を撃っていく。
宇宙人をどんどん倒していく。
敵の残りは1人。
「ラスト!!」
ヒトミがそう言いながら斬りかかる。
だが。
「ぁれ?」
ヒトミが変な声を出す。
どうやら装甲が固いらしい。部隊長か何かだろう。
「セイジ!お願い!!」
ここで、セイジの出番が来た。
「任せて!」
セイジはそういうと、宇宙人に向けて手をかざす。そして、
「燃えろ!!!」
その一言で、宇宙人が炎に包まれ、倒れこむ。
『宇宙人の生体反応、消滅!!』
「「「やった!!」」」
セイジ…いや、この場にいた全員が歓喜の声を上げる。
すると、耳元から声が聞こえてくる。
『みんなが喜んでいるところ失礼ですが、研究班より前線班に伝言があります』
ん?こんなときになんだろう。
『”宇宙人の身体を調べてみたい。3人ほど連れ帰ってきてくれ”だそうです』
「ああ、わかったよ」
『ありがとうございます』
セイジ達は、3人の宇宙人を連れて、本部へと帰った。
作品名:TranceMix! 1話 作家名:ざぶ