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はるかぜ

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むりやり両手を掴んで立たせようとすると逆に縋りつかれた。
「お願いします」
膝をついたままこちらの両手を握ったまま彼は切願するように目を閉じていた。
「あなたに触れたい。触れる許可が欲しいんです」

街灯すらない暗い夜道の下。跪いて許しを乞う男の子の姿に眩暈と違和感を覚える。

求められることはいい、喜びに繋がる。
反応がいささか過剰すぎる感は否めないが、まあ好意を寄せていた相手だし悪い気はしない。
しかし目前に欲しいものをぶら下げられて、すぐに飛びつくほど子供でもないつもりだ。
今まであまりもてたこともないし、前にいた恋人もここまで心を捧げてくれたわけでもない。

ただ自分の目で見える範囲で判断できることは、握られた手がひどく冷えて震えていることだ。

「龍彦くん。ここから僕のアパートは近いんだよ」
努めて明るくそう言うと、龍彦はぱっと頭を上げた。不安そうな顔をしている。
詐欺でもだまされてあげよう。予防線を張りたがる汚い大人な心でそう思った。
僕は少しだけ怖くなりながら、それでも笑った。
「立ち話もなんだし、一緒にくるかい」
龍彦は安堵したように手を握り返した。
(君は何にそんなに怯えているんだい)
やっと立ち上がった後輩の手を握りながら、今は声に出さず胸中で呟いた。


結果だけ話すとシャワーすら浴びさせて貰えなかった。
朝から外に出ていたのに、全身舐め回されて顔射までしてしまった。
いきなり顔射かあと枕に蹲りながら思った。
乱暴に服を脱ぎ散らかす癖に、肌に触れる愛撫は壊れ物を扱うようだった。
じっくりと相手の反応を見ながら、こちらから見れば嬲られている気すらしながら、龍彦は執拗に僕の身体を愛し続けた。

「せつりさん」
まるで譫言のように何度も何度も名を呼び、漏らす声はまるで泣いているようだった。
「龍彦」
汗を掻いた顔を撫でると気持ちよさそうに目を細めた。
名前、呼んでください。祈るように彼は呟き、行為を再開した。



作品名:はるかぜ 作家名:ヨル