アイ・ラブ桐生 第一章 4~6
アイ・ラブ・桐生 第一部
(6) 第一章 学生たちの喫茶店(後)
「どうする?」
私の背中に張り付いたまま動かないレイコへ、
そう声をかけたのは、上野方面へ向かう地下鉄に乗ってからすでに、
2駅も過ぎてからのことでした。
「擦りむいちゃったぁ・・・」
私の前に回りこんできて、
ほらと、ふっくりとした手のひらを突き出して見せました。
確かに、かすかな擦り傷の跡には、わずかに血がにじんでいます。
ほう・・・・こいつは、こんなに可愛いくて小さな手のひらをしてるんだ・・・
作品名:アイ・ラブ桐生 第一章 4~6 作家名:落合順平