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茶房 クロッカス 最終編

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 それから数日後、優子との約束の日である。
 朝はいつも通りに起きて、いつものように朝食後支度して、自転車に乗って家を出て、途中のスーパーで足りない物の買い物。そして店に着くと開店準備と表の掃除。
 花壇ではクロッカスが、残された期間を一生懸命咲いてるように見えた。
「ありがとう! お前たちのお陰だよ。優子に会えたのは……」
 俺は一人、花たちに礼を言って水を掛けてやった。
「いいんだよ。そんなこと」
 もしかしたら花たちがそんな返事を寄こしてくれていたかも知れない。
 だからなのか、その日のクロッカスはいつも以上に色とりどりに美しく咲いていた。

 ランチの支度をしていると、沙耶ちゃんが元気な声でやってきた。
「マスター、おはようございまーす!」
「やぁ、沙耶ちゃん。おはよう!」
 俺は照れ臭さはあったものの、なぜかどこか吹っ切れたような、空で例えるなら、どこまでも高く透明感のある青さで晴れ渡る空のような心境で、彼女に朝の挨拶をした。
「あれっ? マスター、もしかして何かいいことあったのかなぁ〜?」
 やはりその日も沙耶ちゃんは鋭かった!
「アハハハ……、分かるかい?」
「えぇーっ、本当にあったんだ! で、何ぃ〜?」
「あ・と・で! フフッ」
「もう、マスターったら! ふふっ、でもいいわ。何だか嬉しそうだから。その代わり後でちゃーんと教えて下さいよっ」
「ああ」
 俺は、沙耶ちゃんが驚く顔を想像すると楽しくなった。
 その根底には、きっと沙耶ちゃんが喜んでくれるという自信があったからに他ならないのだけど……。