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茶房 クロッカス 最終編

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「あら、悟郎さんいらっしゃい! 優子がお待ちかねよ」
 と、おりゅうさんが笑顔で俺を迎えてくれた。
「ヤッ!」と軽く手を上げ、おりゅうさんに笑みを投げかけ、そそくさとカウンター席にいた優子の隣りに腰をおろすと、おりゅうさんにビールを頼んでからようやく優子の顔に視線を移した。
 本当は何より先に優子を自分の瞳に取り込みたいくせに、いざとなると何だか恥かしくて、ついつい後回しにしてしまう。
「優子、待った?」
 一応俺は聞いてみた。
「いいえ、少し前に来た所よ」
 優子はにっこり微笑みをくれた。
「そうか、良かった。これでも急いで来たんだ」
「分かってるわ。仕事なんだもの仕方ないわよ」
 おりゅうさんがビールを持って来て俺のコップに注いでくれた。
「じゃあ、一応乾杯しようか?」
「そうね」
 俺たちはグラスを合わせ、カチーンと言う音にお互い「ふふっ」と笑いを漏らした。

「ねぇ、悟郎くん。私、あれからずうーっと気になってたのよ。良いニュースがあるって言ってたでしょ? あれ、どういうことなの?」
「あぁ、あのことね。優子、知りたい?」
「もぅ! 何よ悟郎くん。それを話してくれるために私を呼び出したんじゃないの?」
「アハハハ。ごめんよ! そうなんだけど、優子の顔を見たら急に話すのが惜しくなった」
「えぇーっ!? 何よそれっ? 意地悪しないで早くおっしゃい!」
「分かったよ。ゴメンゴメン」