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茶房 クロッカス 最終編

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 披露宴では、ウェディングドレスからイブニングドレスにお色直しした沙耶ちゃんと優子が主役だ。
 俺と良くんはその脇の席で、変わりばえしないタキシードスタイルで静かに控えている。
 ウェディングケーキへのナイフ入刀も、俺たちは四人で一緒にやった。
 こんな風に家族となる四人が、一緒に一つのこと、それも記念すべきケーキ入刀をできるというのは、案外良いものだなぁと思った。
 招待客のみんなは、食事や酒に口元をほころばせながら、隣同士の人や仲間たちとの会話に話が弾む。
 途中で合間にスピーチや歌が入り、笑ったり泣いたり忙しかった。
 さすがに重さんがスピーチで、俺の両親が亡くなった時のこと、重さんがとても心配していたことを話し、そして、今日の日を迎えられてとても嬉しいと言ってくれた時には、俺の感情はピークに達し、涙が溢れて止まらなくなった。
 そういうことも想定し、予め俺の席のテーブルの上には、白い木綿のハンカチが用意されていて、優子はそれを手に取ると、そっと俺に手渡してくれた。
《 重さん……本当にありがとう 》
 泣きながら心の中で呟いた。

 小橋さんは例によって、わざと裏声を使って歌を歌い、参加者全員の大いなる笑いを取り、わざわざこの日のために来てくれた恋歌さんは、愛を讃える素敵な詩を朗読してくれた。
 一緒に来たきりんちゃんは、かなりビールを飲んで気持ちよくなったのか、知らない人にまでお酌をして歩いている。
 そんな二人を優しい眼差しで光さんが見つめていた。
《趣味の仲間っていいなぁ〜》
 それを見た俺の素直な感想だった。